2026年が明け、チャートと向き合う日々が始まりましたが、皆さん息をしていますか?

私は先日、久しぶりに派手な損切りをしてしまい、モニターの前でしばらく天井を仰いでいました。 原因は、そう、皆さんもご存知の通り**「高市政権」による相場の急変動**です。

「アベノミクスの再来か?」「いや、新しい資本主義とのハイブリッドだ」 様々な憶測が飛び交う中、為替相場はテクニカル分析をあざ笑うかのように、政治的なヘッドライン一本で1円、2円とぶっ飛ぶ展開が続いています。

今回は、この難解な「官邸主導相場」の正体と、その荒波に飲み込まれて資金を溶かした私の**「恥ずかしい失敗談」、そしてそこから見出した「政治相場の戦い方」**について、徹底的に深掘りして書いていきたいと思います。

今のドル円相場に疲れ切っている方、高市総理の発言にビクビクしている方、ぜひ最後までお付き合いください。読み終わる頃には、少しだけ相場を見る目が冷静になっているはずです。


第1章:なぜ高市政権下でドル円は「暴れ馬」になったのか?

まずは、今の相場環境をファンダメンタルズの視点から整理しましょう。なぜこれほどまでに方向感がなく、かつボラティリティ(変動幅)だけが高いのか。その答えは、日本の政治情勢と日銀の板挟み状態にあります。

1. 「積極財政」への期待と不安

高市総理といえば、以前から「積極財政派」として知られています。「機動的な財政出動」と「成長投資」を掲げるその姿勢は、株式市場にとってはプラス材料(株高要因)として歓迎される一方で、為替市場においては**「円の信認」**というテーマを突きつけてきます。

「国債をバンバン発行して財政出動をするなら、円の価値は下がる(円安になる)のではないか?」 海外のヘッジファンドは、そうしたシナリオを描いて円売りを仕掛けてきます。しかし、一方で政権は「行き過ぎた円安は国益に反する」という牽制球も投げる。

この**「財政は吹かしたい(円安要因)」けど「物価高になるから円安は嫌だ(円高牽制)」**という、アクセルとブレーキを同時に踏むような政策スタンスが、相場の方向感を失わせている最大の要因です。

2. 日銀との「微妙な距離感」

市場が最も神経質になっているのが、官邸と日本銀行の距離感です。 日銀としては、物価安定のためにそろそろ利上げのペースを早めたい(金融正常化を進めたい)のが本音でしょう。

しかし、高市政権の支持基盤や経済ブレーンの思想を考えると、急激な利上げによる景気腰折れは絶対に避けたいはずです。「デフレからの完全脱却までは緩和的な環境が必要」という総理の過去の発言が、亡霊のようにトレーダーの脳裏をよぎります。

「日銀は利上げしたいが、官邸がそれを許さないのではないか?」 この疑心暗鬼が、本来なら円高に振れるはずの局面でも円が買われない、あるいは突然の要人発言で急落するといった不安定な動きを生み出しています。

3. 海外勢の「AIアルゴリズム」による狙い撃ち

そして厄介なのが、現代の相場を支配するAI(人工知能)です。 最近のアルゴリズムは、ニュースのヘッドラインを瞬時に解析して売買を行います。

「Takaichi(高市)」 「Spending(歳出)」 「BoJ(日銀)」

こうしたキーワードが含まれるニュースが流れた0.1秒後には、数千億円規模の注文が飛び交います。我々個人トレーダーが内容を理解してマウスをクリックする頃には、もう相場は動き終わっているのです。この「ヘッドライン相場」こそが、2026年のFXを難しくしている正体です。


第2章:【体験談】私が「サナエノミクス」の罠で爆死した日

さて、ここからは私の失敗談をお話しします。 「人の不幸は蜜の味」と言いますから、どうぞ笑ってやってください。そして、同じ轍を踏まないでください。

自信満々の「ショート(売り)」エントリー

それは、日銀の金融政策決定会合を控えたある日のことでした。 米国の経済指標が予想を下回り、ドル安のトレンドが出始めていました。テクニカル的にも、ドル円は日足の重要なレジスタンスライン(上値抵抗線)に頭を抑えられ、綺麗な「三尊(ヘッドアンドショルダー)」を形成しつつありました。

「これは落ちる。間違いなく調整局面だ」

私はそう確信し、レジスタンスライン背に、自信満々でショート(売り)ポジションを持ちました。 想定通り、価格はジリジリと下がり始め、含み益が乗ってきます。 「よしよし、このまま会合まで持ち越せば、大きな利益になる」 私は捕らぬ狸の皮算用をしていました。

突然の「速報」と乱高下

しかし、午後2時過ぎ。 スマホのニュースアプリがけたたましく鳴りました。

『高市総理、補正予算の規模について「大胆な規模を想定」と発言』

このヘッドラインが流れた瞬間でした。 穏やかに下がっていたチャートが、まるで心停止した患者に電気ショックを与えたかのように、垂直に跳ね上がりました。

「は!? なんで今!?」

一瞬で含み益は消滅。それどころか、アルゴリズムによる買いが買いを呼び、ショートカバー(損切りの買い戻し)を巻き込んで価格は急騰。 私のストップロス(損切り注文)は、スリッページ(注文価格と約定価格のズレ)を伴って無慈悲に約定しました。

怒りの「ドテン買い」でトドメを刺される

ここでやめておけば、まだ「軽傷」で済みました。 しかし、私は熱くなってしまいました。 「そうか、結局は財政出動で円安なんだな! 総理がそう言うなら、円は売るしかない!」

私は、急騰した天井付近で、今度はロング(買い)のエントリーをしました。いわゆる「ドテン」です。 「高市政権=円安」という単純な図式に脳内を支配されていたのです。

その直後です。 今度は財務大臣が記者会見でこう述べました。 『為替の急激な変動は好ましくない。あらゆる手段を排除せず適切に対応する』

いわゆる「口先介入」です。 天井圏でロングを持った瞬間、この発言により相場は急落。 「嘘だろ……」 画面の前で固まる私を置いて、チャートは元の位置、いや、それ以下まで全戻ししました。

結果:往復ビンタで資金の15%を失う。

「総理が上げて、財務大臣が下げる」 まるでコントのようなマッチポンプに、私はまんまと踊らされたのです。これが政治相場の恐ろしさです。


第3章:政治相場で生き残るための「3つの鉄則」

この手痛い敗北から、私は高市政権下でのトレードルールを根本から見直しました。 テクニカルだけでは勝てない今の相場で生き残るために、以下の3つを徹底しています。

1. 「東京時間」の突発的な動きには乗らない

以前の政権と違い、今の官邸はマーケットへのメッセージ発信に積極的です。 特に東京時間(9:00〜15:00)は、いつ総理や閣僚の発言が飛び出してくるか分かりません。

対策: 東京時間に急に動いた場合、それは「実需」ではなく「ヘッドライン」によるAIの反応であることが多いです。 この動きに飛び乗るのは自殺行為です。 「東京時間の急騰・急落は、欧州時間・NY時間で全戻しされる可能性が高い」 これを前提に、東京時間はあえて「見送り」、方向感が定まった夕方以降にエントリーするスタイルに変えました。これだけで、無駄な損切りが激減しました。

2. テクニカルは「水平線」だけを信じる

今の相場では、RSIやMACDといったオシレーター系の指標は、政治発言一発で無効化されます。 唯一機能するのは、多くの市場参加者が意識している**「水平線(レジスタンス・サポート)」**だけです。

対策: 「高市政権だから円安だ」というバイアスを捨て、チャート上の事実に従います。 どんなに強力な円安発言があっても、日足レベルの重要な高値を抜けない限りはトレンド継続とはみなしません。 ファンダメンタルズは「燃料」、テクニカルは「地図」です。地図を持たずに燃料だけ投下しても、事故を起こすだけです。

3. ロットを落として「ノイズ」を許容する

これが最も即効性のある対策です。 要人発言による50銭〜1円程度の乱高下は、今の相場では「ノイズ(誤差)」です。 このノイズで狩られないためには、ストップまでの幅を広く取る必要があります。

対策: ストップ幅を広げる代わりに、エントリーするロット数を従来の半分〜3分の1に落とします。 「稼ぎたい」という欲を抑え、「生き残る」ことにシフトするのです。 ロットを落とせば、多少の逆行も冷静に見守ることができます。私が失敗した時は、自信過剰でハイレバ気味だったことが敗因でした。


第4章:2026年後半へ向けた展望と戦略

では、今後のドル円はどうなるのでしょうか? 私個人の見解としては、**「高値圏でのレンジ相場」**が長く続くと予想しています。

上値は重いが、下値も堅い

米国の利下げ観測が出てくればドルは売られますが、日本の「積極財政」という円売り要因が下値を支えます。 一方で、155円、160円といった水準に近づけば、政府・日銀による実弾介入の警戒感が高まり、上値も重くなります。

つまり、明確なトレンドが出にくい**「レンジ相場」**こそが、2026年のメインシナリオです。

「レンジ戦略」こそが最強

トレンドフォロー派には辛い時期ですが、レンジ相場と割り切れば戦いようはあります。 高値圏まで引きつけてからの「逆張りショート」、安値圏での「逆張りロング」。 中央付近では手を出さない。

教科書通りのレンジ戦略を、ロットを落として淡々と繰り返す。 派手さはありませんが、高市政権下の相場では、こうした地味な作業ができるトレーダーだけが、年末に笑っていられるはずです。


まとめ:政治家の言葉ではなく、チャートの声を聴け

高市政権の誕生により、為替相場は確かに複雑化しました。 「サナエノミクス」という言葉に踊らされ、期待と恐怖で冷静さを失うトレーダーが増えています。

しかし、忘れてはいけない真実があります。 **「すべての事象は、最終的にチャートに織り込まれる」**ということです。

総理が何を言おうが、日銀総裁が何を言おうが、実際に資金が動かなければチャートは動きません。 ニュースヘッドラインに一喜一憂して右往左往するのではなく、一歩引いて「大口の資金がどちらに向かおうとしているのか」をチャートから読み取る。

私が往復ビンタを食らったあの日、もしニュースを見ずにチャートの「上ヒゲ」だけを見ていたら、冷静にドテン買いなどをせずに済んだはずです。

相場の世界に絶対はありませんが、「退場しないこと」が唯一の正解です。 政治の季節である2026年。 振り回されるのではなく、このボラティリティを味方につけて、賢く利益を積み上げていきましょう。

最後に一つだけ。 「トレード中に総理の会見が始まったら、ポジションを閉じてコーヒーでも飲め」 これが、今の私が皆さんに送れる最大のアドバイスです。