勝率60%でも資金が尽きた。6,000回のトレード記録が教える「コツコツドカン」の正体
「FXで勝率60%」と聞くと、あなたはどう感じますか?
- 「結構優秀じゃない?」
- 「これなら資金は増えていくはず」
- 「あと少し改善すれば専業も夢じゃない」
正直に言います。かつての僕も、まったく同じことを思っていました。 モニターの前で「よし、今日も勝ち越した」とガッツポーズをしていた日さえあります。
しかし、約6,000回ものトレード履歴を振り返って突きつけられた現実は、残酷なものでした。 「勝率60%でも、資金は増えるどころか減り続ける」
なぜ、半分以上勝っているのに破産に向かうのか? 今日は、机上の空論ではなく、僕の**「血の通った(そして血を流した)トレードデータ」**を使って、そのカラクリを解剖します。
結論:勝率60%でも“期待値”がマイナスなら死ぬ
もったいぶらずに、僕の当時の「負け口座」のスペックを公開します。
- 勝率: 約 60%
- 平均利益: +18 pips
- 平均損失: -35 pips
- トレード回数: 約6,000回
- トータル成績: 大赤字
一見すると不思議ですよね。 10回戦えば6回は勝っているんです。回数だけで見れば「勝ち組」に見えるかもしれません。
でも、なぜ資金が減るのか。 答えはシンプルで、**「1回の負けが重すぎるから」**です。
重要なのは「勝率」ではなく「期待値」だった
当時の僕が見落としていたのが、この**「期待値」**という考え方です。 計算式は以下の通り。
(勝率 × 平均利益)-(敗率 × 平均損失)
この式に、僕の成績を当てはめてみます。
(0.6 × 18) - (0.4 × 35) = 10.8 - 14 = -3.2 pips
この「-3.2」という数字の意味がわかりますか? これは、**「エントリーボタンを押すたびに、理論上3.2pipsずつお金をドブに捨てている」**ということです。
勝ったり負けたりを繰り返しているようで、実はトレードをするたびに、確実に入場料を取られ続けていたのです。 これを6,000回も繰り返せば、資金が枯渇するのは「運」ではなく「必然」でした。
なぜ勝率60%でも、こんな歪な数字になるのか?
では、なぜここまで「勝率」と「収支」が乖離してしまったのか。 データを深掘りすると、当時の僕の心理状態が手に取るようにわかりました。
1. 「利確はチキン、損切りは頑固」の典型病
最大の原因はこれです。 いわゆる「プロスペクト理論」そのままでした。
- 含み益が出た時: 「せっかくの利益を減らしたくない!」という恐怖で、数分で早々に利確。(平均+18pips)
- 含み損が出た時: 「待てば戻るはず」という根拠のない希望で、長時間保有。(平均-35pips)
勝率は高いので、なんとなく「上手くやっている感」はありました。 しかし実態は、小さな利益を積み上げ、たまに来る大きな損失ですべてを吹き飛ばしていただけでした。
2. 「勝率を維持すること」が目的になっていた
当時の僕は、損切りをすることが「負けを認めること」だと感じていました。 勝率60%という数字をキープしたいがために、本来切るべき場所で切れず、ズルズルと損切りラインを下げていたのです。
その結果、 「勝率は60%あるが、リスクリワード(損益比率)は 1:2 で圧倒的に不利」 という、最悪のバランスが完成しました。
「勝率」というプライドを守るために、「利益」を犠牲にしていたわけです。
3. トレード回数でカバーしようとする暴走
そしてトドメがこれです。 当時のデータを見ると、狂気じみています。
- 1日平均: 約70回
- 多い日: 200回超え
期待値が「-3.2pips」の状態であるにも関わらず、 「もっと回数をこなせばプラスになるはずだ!」 と勘違いして、ひたすらエントリーを繰り返していました。
穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。 回数を増やせば増やすほど、期待値のマイナスが収束し、傷口が広がっていく。 **「努力の方向音痴」**とはまさにこのことでした。
補足:ロングもショートも関係なかった
よく「自分は買いが苦手だ」とか「売りの方が勝てない」という話を聞きますが、僕のデータに関しては完全に「実力不足」でした。
- ロング勝率: 約60% → マイナス
- ショート勝率: 約59% → マイナス
方向性の問題ではありません。 問題は一貫して、**「損益バランスの設計」と「出口戦略」**が狂っていたことです。
まとめ:その勝率は「ハリボテ」ではないか?
もしあなたが今、「勝率は悪くないのに、なぜか資金が増えない」と悩んでいるなら、一度計算機を叩いてみてください。
勝率60%という数字に、騙されていませんか?
FXで生き残るために必要なのは、高い勝率ではありません。 たとえ勝率が40%でも、期待値がプラスなら資金は増えます。
- 平均損失が平均利益を上回っていないか?(コツコツドカンになっていないか?)
- 1回のトレードの期待値はプラスか?
- 無駄な連打でマイナスを積み上げていないか?
僕のように6,000回も失敗を重ねる前に、この「残酷な数字の現実」に向き合ってみてください。 それが、勝てるトレーダーへの本当の第一歩です。