【脱・感覚トレード】プログラミング知識ゼロでもOK!AIに「自分だけの最強インジケーター」と「収支分析」を丸投げする技術
「ここに矢印が出ればわかりやすいのに……」 「自分の勝ちパターンと負けパターン、感覚じゃなくてデータで知りたいけど、エクセルの集計が面倒だ」
チャートと向き合う中で、そんなふうに感じたことはありませんか? 前回の記事では、AIを使った「ニュース分析(ファンダメンタルズ)」による時短術について解説しました。しかし、FXトレーダーの戦場はニュースだけではありません。むしろ、モニターに張り付いてチャートの形状を見極める「テクニカル分析」や、自身の過去の売買を振り返る「データ分析」にこそ、膨大な時間と精神力を費やしているはずです。
実は今、この**「テクニカル」と「データ管理」の領域こそ、AI革命が最も熱い分野**なのです。
「でも、自動売買やインジケーターを作るにはプログラミングが必要でしょ?」 「データ分析なんて理系じゃないと無理」
そう思っているあなたにこそ、この記事を読んでほしい。 断言します。2024年以降、プログラミング言語(コード)を書くのは人間ではなく、AIの仕事になりました。 あなたに必要なのは、ロジックを日本語で伝える「国語力」だけです。
私自身、かつてはMQL4(MT4の言語)の参考書を買っては3日で挫折していた「典型的な文系トレーダー」でした。しかし現在では、思いついたロジックをその場でAIにコード化させ、検証し、ダメなら捨てるという「高速PDCA」を回しています。また、週末のトレード振り返りも、AI専属コーチに丸投げしています。
本記事では、AIを活用して「自分だけのカスタムインジケーターを作る方法」と、自分のトレード履歴をAIに解析させて「弱点を丸裸にする方法」を、実体験を交えて4000文字超で徹底解説します。
第1章:TradingView × AI = 最強の時短開発
1-1. なぜMT4ではなくTradingViewなのか
まず、AIを使ってテクニカル分析を自動化するなら、プラットフォームは「TradingView」一択です。理由は単純で、TradingViewで使われる言語「Pine Script(パインスクリプト)」が、AIにとって非常に理解しやすく、エラーが出にくいからです。
MT4/MT5の言語(C++ベース)は複雑で、AIに書かせても環境構築やコンパイルエラーでつまずくことが多々あります。一方、Pine ScriptはWebベースで動き、修正も即座に反映されます。「AI × TradingView」は、プログラミング未経験者がオリジナルの道具を作るための「黄金の組み合わせ」なのです。
1-2. 【実践】3分で「自分専用インジケーター」を作る
では、実際に私が作成した「移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスで矢印とアラートを出すインジケーター」の作成プロセスを再現します。
やることは簡単です。ChatGPT(またはClaude)を開き、以下のようにお願いするだけです。
【入力するプロンプト】
あなたはTradingViewのPine Script v5の熟練プログラマーです。以下の条件で動くインジケーターのコードを作成してください。
- 期間20の単純移動平均線(SMA)と、期間75の単純移動平均線を表示する。
- 20SMAが75SMAを「下から上に」抜けた時(ゴールデンクロス)、ローソク足の下に「緑色の上矢印」を表示し、「BUY」というラベルを付ける。
- 逆に、上から下に抜けた時(デッドクロス)は、ローソク足の上に「赤色の下矢印」を表示し、「SELL」というラベルを付ける。
- クロスが確定した瞬間にアラートが鳴る設定を含める。
- コードには日本語で解説コメントを入れること。
これだけで、AIは数十行のコードを吐き出します。 あとはTradingViewの画面下部にある「Pineエディタ」を開き、コードをコピペして「チャートに追加」ボタンを押すだけ。
これまでは、こうしたツールを作るのにネット検索でコードを探し回り、数時間かけてツギハギしていました。それが今では、トイレに行っている間に完成します。
1-3. 「エラーが出た!」その時こそAIの出番
初心者がプログラミングで挫折する最大の理由は「エラー(バグ)」です。赤い文字でわけのわからない英語のエラーメッセージが出ると、それだけでパソコンを閉じたくなりますよね。
しかし、AIがいる今は違います。エラーが出たら、そのエラーメッセージをコピーして、そのままAIに投げつければいいのです。
【修正用プロンプト】
さっきのコードを実行したら、以下のエラーが出ました。原因を特定し、修正した完全なコードを再度提示してください。 【エラーメッセージ】 Line 12: Mismatched input ‘expecting’…
するとAIは、「申し訳ありません。バージョン5の記述方法に誤りがありました。正しくは〜です」と、平謝りしながら修正版を即座に出してくれます。 私が体験した中では、複雑なロジックでも2〜3回のラリー(修正指示)で、ほぼ完璧に動作するものが完成します。この「諦めなくていい」という安心感が、AI開発の最大のメリットです。
第2章:アイデアを形にする「AI壁打ち」開発法
インジケーター作成の真骨頂は、単純なサインツールだけではありません。「こんなフィルターをかけたら勝率が上がるのではないか?」という検証作業にも使えます。
2-1. RSIフィルターを追加してみる
例えば、先ほどの移動平均線クロス。「レンジ相場でダマシが多いな」と感じたとします。そこで、「RSIが50以上の時だけ買いサインを出すようにしたい」と思いついたとしましょう。
既存のインジケーターなら設定変更ができない場合が多いですが、自作なら自由自在です。
【追加プロンプト】
先ほどのコードにフィルター機能を追加してください。 条件:RSI(期間14)が50以上の時のみ「BUY」サインを出し、RSIが50以下の時のみ「SELL」サインを出すように変更してください。 また、このRSIの期間や閾値(50)は、後から設定画面で変更できるようにしてください。
これで、「レンジ相場のダマシを回避するフィルター付きインジケーター」へのアップデートが完了です。 このように、**「アイデアを思いつく(人間)」→「実装する(AI)」→「チャートで確認する(人間)」**というサイクルを高速で回すことで、あなたの相場観は飛躍的に洗練されていきます。
2-2. 複数のテクニカルを組み合わせた「魔改造」
私が過去に作って面白かったのは、「ボリンジャーバンドの2σタッチ」+「RSIの買われすぎ」+「特定のローソク足の形(包み足)」が重なった時だけサインが出る、という複合条件インジケーターです。
ネット上に落ちている無料インジケーターでは、これほどニッチな条件を満たすものはありません。しかしAIなら、「AかつBかつCの時」という条件を指定するだけで、世界に一つだけのツールを作ってくれます。
「自分だけの聖杯探し」は、かつては泥沼の作業でしたが、AIを使えば「検証のためのツール作り」が一瞬で終わるため、本来時間をかけるべき「優位性の確認」に集中できるのです。
第3章:【極秘】AI専属コーチによる「トレード診断」
ここからは、プログラミング(コード生成)とは別の、さらに強力なAI活用法を紹介します。 それは、ChatGPTの「Advanced Data Analysis(データ分析機能)」を使った、自己トレードの科学的解析です。
多くのトレーダーが「トレード日誌をつけろ」と言われても続きません。なぜなら、データの入力と集計が面倒すぎるからです。しかし、MT4やMT5、あるいは国内証券会社の管理画面からは、取引履歴を「CSVファイル」または「Excelファイル」でダウンロードできます。 これを使わない手はありません。
3-1. 自分の「負け癖」をデータで暴く
手順は以下の通りです。
- 証券会社から過去3ヶ月〜1年分の取引履歴(CSV)をダウンロードする。
- ChatGPT(Plus推奨)にそのファイルをアップロードする。
- 以下のようなプロンプトで分析を依頼する。
【分析用プロンプト】
添付ファイルは私のFX取引履歴です。あなたはデータ分析のプロとして、私のトレードの傾向と弱点を分析してください。以下の項目について、グラフ付きでレポートを作成してください。
- 通貨ペア別の勝率とプロフィットファクター(PF): 私が最も利益を出している通貨と、足を引っ張っている通貨はどれか?
- 時間帯別の損益推移: 日本時間において、私が最も負けやすい時間帯(例:ロンドン初動、NYクローズ付近など)はどこか?
- 保有時間と損益の相関: 「ポジションを長く持つと負ける」のか「短期売買で負けている」のか散布図で表示。
- 曜日別の成績: 金曜日に負けやすいなどの傾向はあるか?
- 結論: 収支を改善するために、直ちにやめるべき行動と、伸ばすべき行動を3つ提案してください。
3-2. AIが突きつける「残酷な真実」
私がこれを初めてやった時、AIが出してきた結果に愕然としました。 自分では「ドル円が得意」だと思っていたのに、データ上では**「ドル円は勝率は高いがコツコツドカンでトータルマイナス。実はポンドドルの方がPFが高い」**という結果が出たのです。
さらに、「23時以降(NY時間本格化以降)のエントリーは勝率が30%代まで低下している。深夜のトレードは即刻禁止すべき」という具体的なアドバイスまで突きつけられました。
人間は、記憶を美化します。勝ったトレードのことはよく覚えていて、負けたトレード(特に感情的なナンピンなど)は記憶から消そうとします。 しかし、AIは数字しか見ません。**「あなたは夜中に熱くなってポンドを触り、資産を溶かしています」**という事実を、美しいグラフとともに冷徹に教えてくれます。
この「客観的なフィードバック」こそが、兼業トレーダーがプロへ脱皮するために最も必要なものです。孤独なトレーダーにとって、自分の悪い癖を指摘してくれるのは、これまで相場退場という「死」しかありませんでした。しかし今は、死ぬ前にAIが警告してくれます。これは凄まじいアドバンテージです。
第4章:注意点とAIとの付き合い方
ここまでAIの万能性を説いてきましたが、テクニカル分析やコード生成における注意点も記しておきます。
4-1. 「リペイント」の罠を知る
AIにインジケーターを作らせる際、特に初心者が陥りやすいのが「リペイント(後出しジャンケン)」するコードを作ってしまうことです。 例えば、「ZigZag」のような高値安値を結ぶロジックや、確定していないローソク足での判定を含めると、過去チャートで見ると完璧なタイミングでサインが出ているのに、リアルタイムではサインが出たり消えたりする現象が起きます。 これを防ぐためには、プロンプトに必ず**「※再描画(リペイント)しないロジックにしてください。判定は必ず『ローソク足の確定(close)』で行ってください」**と明記することが重要です。
4-2. バックテストの過剰最適化(カーブフィッティング)
AIを使ってパラメータ(移動平均線の期間など)を最適化させると、過去の相場「だけ」で爆発的に勝てる数値を弾き出すことがあります。これをカーブフィッティングと言います。 過去1年で最強だった設定が、来月も通用するとは限りません。AIが出した数値はあくまで参考程度にし、「なぜその期間なのか?」という論理的な裏付け(例:1時間足の20MAは市場参加者が意識しやすい等)がない設定は採用しない勇気が必要です。
第5章:結論・AIはあなたの「専属クオンツ」
前回はニュース分析のアシスタントとしてのAIを紹介しましたが、今回は**「エンジニア」および「データアナリスト」としてのAI**を紹介しました。
ヘッジファンドや機関投資家には、高度な数式を操る「クオンツ」と呼ばれる専門家や、システムを構築するエンジニアが多数在籍しています。個人トレーダーが彼らに勝てなかったのは、この「技術力」と「分析力」の差が圧倒的だったからです。
しかし、生成AIの登場で、その壁は崩れ去りました。 月額数千円のAIサブスクリプションを利用することで、あなたは実質的に**「専属のプログラマー」と「専属のリスク管理部長」を雇ったのと同じ状態**になれるのです。
- 思いついた手法をすぐにツール化して検証する行動力。
- 自分のトレードデータを定期的に監査し、無駄を削ぎ落とす修正力。
これらをAIにアウトソーシングすることで、トレーダーであるあなたがやるべきことは**「最終的な意思決定」と「メンタル管理」、そして「AIへの的確な指示出し」**だけに絞られます。
【今日からのアクションプラン】
- TradingViewのアカウントを作る(無料版でOK)。
- ChatGPTに「TradingViewで移動平均線がクロスしたら色がつくコードを書いて」と頼んでみる。
- 週末に証券会社からCSVをダウンロードし、AIに「私のトレードを分析して」と投げてみる。
まずは「コードをコピペして動いた!」という小さな感動を味わってください。その小さな一歩が、あなたのトレード環境を劇的に変える「デジタル革命」の始まりになるはずです。 感覚だけで戦うのは、今日で終わりにしましょう。AIという最強のパートナーと共に、データとロジックに基づいた「勝てるトレーダー」への道を歩み出してください。